2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520426
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
柳田 征司 Nara University, 文学部, 教授 (10036410)
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Keywords | 国語学 / 抄物 |
Research Abstract |
抄物は狂言詞章・キリシタン資料とともに中世日本語研究資料として価値が高いにもかかわらず、その発掘と整備が遅れている。筆者は45年余全国各地に抄物の現地調査を行って来たが、更に発掘・調査に努め、目録の完成を目指している。本年度は、仏書と国書の抄物と、漢籍の抄物で目録発表後に見つかったものとの目録作成に努めた。 1、現地調査 本年度は建仁寺大中院・龍谷大学図書館・大阪府立中之島図書館・阪本龍門文庫・順天堂大学図書館等において抄物の調査を行った。前二者においては40年前から調査して来たが、所蔵者による蔵書目録が完備したので、抄物及び抄物関係資料を徹底的に調査した。大中院では天正2年書写の『〓葛藤』、龍谷大学では『正信偈大意』等の浄土真宗の仮名交じり注釈書類が、特に注目された。 2、資料性の解明 仏書の抄物を中心に、現地で作成した調書と複写物とによって資料の整理を進め、抄者・成立年など資料性の解明に努めた。今回は、早く抄者未詳として目録化していた東京大学国語研究室所蔵の『蒙求抄』が足利学校で作成された抄物であることを発表することができた。従来知られていた足利学校の抄物は口語度の低いものであったが、この抄物の性格が明らかになったことによって認識を改める必要が生じて来た。 3、目録の作成 目録完成を目指して原稿化を進め、仏書の抄物については『勅修百丈清規抄』『日用清規抄』等の目録を報告した。手書きの抄物詳細目録原稿を外注し、打ち込み目録ができた。原稿作成後に発見した抄物を加えて、発表する機会を持ちたい。
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