Research Abstract |
1.コーパスからの用例抽出情報に基づく用例記述の分析 ・『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の領域内公開データより得られる用例を人手によって選別,分析し,辞書に記載すべき用例記述の分析を行った。 ・「できる,くる,行う,思う,出る,持つ,使う,知る,決める,出す.認める,開く,しまう,話す,聞く」の合計15語の用例記述を行い,コーパスからの用例抽出,分析,用例記述に至る一連の過程の手続き化,及び,用例記述方法のマニュアル化を検討した。 ・従来,国語辞典編者や執筆者それぞれの直感や力量にゆだねられていた用例記述に対し,本研究では,大規模コーパスを利用した用例抽出,分析,記述に至る一連の過程を手続き化し,大規模構築への見通しを立てることができた。 2.コーパスから得られる辞書情報の分析 ・現代語の辞書記述では,「古い」語の見出しとしての採否や用法記述が問題になる点に着目し,国語辞典に「古風」と注記される語について,現代日本語書き言葉のコーパスを用いて,その使用実態を明らかにした。 ・岩波国語辞典「古風」という注記がついているうちの125語に関し,現代語における使用実態を調査した。「BCCWJ領域内公開データ2009」に収録されている約3,000万語分の「書籍」のテキストデータを調査対象に用いた。その結果,「古風」とくくられていた語は次のとおり詳細に,より客観的に細分類できることを示した。 「現代にほとんど使用されていないもの」 「主に古典の引用で使用さるもの」 「主に時代小説や歴史小説で使用されるもの」 「主に古い文体で使用されるもの」 「古風であるが主に現代語として使用されているもの」
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