2008 Fiscal Year Annual Research Report
音韻獲得における「音韻知識」と「音韻意識」に関する研究
Project/Area Number |
20520435
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
都田 青子 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (90256024)
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Keywords | 音韻意識 / 音韻獲得 / 音韻知識 / フット |
Research Abstract |
本研究では、音韻論の最新成果を踏まえながら、正常発達児の音韻発達データを分析、研究し、読み障碍のスクリーニング・診断などに役立つ基礎資料を提供するとともに、音韻理論の妥当性を英語と日本語の音韻発達データを使って検証していくことを目的としている。 平成20年度は「音韻意識」を取り入れた分析を行うために、40名の小学1年生のデータ分析を行った。音韻分解、削除、置換、逆唱などの課題を用いながら「音韻意識」という観点からエラー分析をした結果、左端のフットの影響と思われるエラーが多く観察された。しかし、フットの本質を知るために、正常発達児のデータだけではなく、さらに、障碍のある子供の通時的データ(3:7-8;6)を収集し、両者の照合を行った。その結果、障碍のある子供のデータでは、初期の段階からバイナリー・フットの影響と思われるエラーが観察され、8歳を過ぎた段階でも依然としてフットの影響を受けたままであるという結果が得られたことから、音韻獲得においては、バイナリー・フットからの縛りから「解放」されることこそが重要な鍵を握っているのではないかという結論に至った。これらの研究成果は7月にイスタンブールで開催された“12^<th> meeting of the International Clinical Phonetics and Linguistics Association"で発表した。
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