2009 Fiscal Year Annual Research Report
規範から逸脱した英語表現の語用論的研究―特に従属節の解釈に関して―
Project/Area Number |
20520443
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中山 仁 Fukushima Medical University, 看護学部, 教授 (70259810)
|
Keywords | 英語 / 語用論 / 従属節 / when / where / if / 関係詞節 / 制限・非制限 |
Research Abstract |
本研究は,文法的に見て不自然と見なされる英語表現(特に従属節が関わる表現)を取り上げ,それらがなぜ使用されるのかを,語用論的に説明しようとするものである。平成21年度前半は,昨年度に引き続き「NP+be+when/where節」および「NP+be+if節」の形式におけるwhen/where/if節の意味とその語用論的機能について,コーパスやその他の資料をさらに詳細に検討し,これまでの分析結果を中山(2010)(裏面参照)にまとめた。具体的には,Longman Dictionary of Contemporary English (4th ed.)を1つの言語資料と見なし,上記のwhen節に相当すると思われる形式が定義文の中でどのように使用されているかについて,定義される語彙の特徴とともに明らかにした。また,NP+be+if節については,the only N is if節の生起状況とNの語彙的特徴をコーパスに基づいて分析を行った。この成果は,擬似分裂文の一種として解釈する従来の統語的・意味的視点に加えて,語用論的解釈の関わりを明らかにできた点で意義深い。 今年度後半は,関係詞節の制限・非制限を区別する形式と意味のずれに関わる表現について,具体的な検討に着手した。特に,一見制限節のように見える関係詞節(すなわち,主節と関係詞節との間に音調上の切れ目が存在しない関係詞節)が,実際には非制限的である事例に注目し,その生起要因について意味的・語用論的観点から検討した。その結果,特に小説においては,一定の語用論的要因によって非制限的関係詞節が制限的な形式をとることがしばしばあるということが分かった。具体的な要因としては、関係詞節が、(1)主節を述べるにあたり、欠かせない理由であること、(2)主節の情報を補完すること、(3)主節と関係詞節との間に(意味上あるいは文脈上)必然性や予測可能性の関係が意識されること、などが関与している。この結果は,制限節・非制限節の違いを形式に依存しがちな従来の解釈手順に新たな視点を与えるものと言える。
|
Research Products
(2 results)