2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520445
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
高橋 幸雄 Morioka College, 文学部, 教授 (30154876)
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Keywords | 音韻論 / 統語論 / 意味論 / ゲーム理論 / 言語の進化 |
Research Abstract |
文法からの文法的な装置(gadget)が繰り出す戦略の間のゲーム理論的計算の最適解と見なすことで、(1)統語論と意味論とのミスマッチについての新たな説明を与え、(1)日本語における高段母音の無声化の現象が方言毎に異なる可能性を指摘し、その差異が音韻計算装置間の最適解の違いに還元されると云うこと、(3)言語の変容、あるいは進化が、文化を背景としたものであり、その文化的構造と言語構造との間のゲーム理論的な交渉の最適解として説明されると云うことを明らかにした。とくに(2)については最適性理論に対するアンチテーゼの論拠となる可能性がある。 さらに、(1)意識は、ミーム(文化遺伝子)間の相互作用として捉えられるという主旨の発表をストックホルム大学における国際学会において提示し、(2)言語の進化の漸進性は、言語が空間と時間とを記述対象とする領域において常時、発生しうるものであることをソウルのYonsei Universityでの国際学会において提示することが決定されている。いずれも2008年度内に投稿し審査を経たものである。一般に科学的方法論の改編は、記述対象となるものの内実を推測する(reverse-engineer)方法を根底から変更するものであり、言及してある研究はそのような方法論的変更を可能とするものである。さらに最適性理論に対する問題の一つ、言語の自由変異、について、本研究のアプローチは全くあらたな説明を与える可能性がある。それは、自由変異は複数の最適解の存在として説明される、とするものである。この可能性は論文として纏め、現在、審査を受けている。
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Research Products
(8 results)