2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520450
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗正 佳啓 Fukuoka Institute of Technology, 社会環境学部, 准教授 (10341463)
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Keywords | 制約 / 補文標識 / wh-agreement / 言語差異 / 階層差 |
Research Abstract |
これまで調査・研究してきたwh-agreementに関わる言語事実や構文について、さらに通言語的考察を行い、類型化を行った。特にwh-agreementがどのような環境で生起するのか、それが生起した場合どの範疇に具現するのか言語タイプ毎に整理し、こうした作業に基づいて、wh-agreementに関する制約を帰納的に導き出した。また、チャモロ語のwh移動に伴う動詞の名詞化現象と日本語の係結びとの類似点、相違点を考察し、上代日本語のwh移動の消失(Watanabe(2002,2006)等)といった通時的言語現象にも研究対象を拡張して行き、これらの差異と関連する制約と他の制約との相対的階層差の帰結として説明できるかどうかも検討した。 これまでの研究で、言語資料及びコーパスの分析を通して、英語では補文内のthatの省略は初期近代英語(正確には16世紀後半)から頻繁に観察され、それまでは補文にはthatがほぼ義務的に生じ、また、that・痕跡効果の出現と二重詰めCOMPの消失もこの時期に相当することが結果として分かった。こうした通時的言語差は、補文標識のT-to-C移動を誘発する制約と関連していることも調査、研究しているが、その制約が、他の言語の補文標識の分布に関する共時的・通時的差異に対しても当てはまるか確認した。こうした作業を通して、従来の補文標識の分布に関する分析を洗い直すと共に、こうした現象に深く関わっている制約の相互作用の確認を行った。
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