2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520452
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
廣江 顕 Shokei University, 文化言語学部・文化言語学科, 教授 (20369119)
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Keywords | mood / 発話の力 / speech act / WANT |
Research Abstract |
研究初年度の平成20年度では、当初の計画通り、補文化辞句構造を介した語用論的領域とのインターフェイスに関する文献を中心に先行研究にあたった結果、やはり主節と従属節における法の対称性に関する統語的見地からの研究はあまり行われてこなかったことがわかった。むしろ、特定の法が従属節に埋め込めないという事実は、これまで生成文法のみならず伝統文法においても一般的見解であり、近年スロベニア語で命令文が従属節に埋め込まれているという事実が明らかになってもなお統語論の問題ではないという位置付けがなされている。しかしながら、法の語用論的機能に関する文献にあたっていたところ、文法形式に影響を及ぼす発話の力(illocutionary force)を、動詞に顕現する法形態との関連で捉えている主張を見つけた(Meinunger (2006))。本研究は同様の方向を見据えてはいるものの、基盤的議論がまだまだ不十分である。そのため、本年度、発話の力と法との対応関係を形式的に捉える基盤的整備及び議論が必要だとの認識で、感情や好悪を表す動詞あるいは述部の補文において、本来は接続法(英語では顕在的な形式ではマークされないものの)でマークされ文脈では話者の前提となっている補文命題が、実はassertive forceを担うという主張を行った。この知見はHiroe (to appear)として結実する予定である。 また、本研究の副産物として、ある特定の動詞の選択特性に変化が生じている事例を見つけ、その変化は無制限なものではなく、ある一定の意味的条件を満たしたときのみ許される、という主張を第16回英語文法語法学会で研究発表の形で行った。
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