2008 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語習得に個人差につながる言語適性(記憶や音韻処理能力)に関する基礎研究
Project/Area Number |
20520478
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小柳 かおる Sophia University, 国際教養学部, 准教授 (90306978)
|
Keywords | 第二言語習得 / 言語適性 / 作動記憶 / 音韻処理能力 / 個人差 / 言語処理 |
Research Abstract |
言語処理における基本的な認知能力とは何かという問題を探るために、第二言語習得分野だけでなく第一言語習得や言語発達遅滞児の研究など関連分野にもひろげて文献資料を入手し、文献調査を行った。予想以上に先行研究が多く、初年度に調査を終えレビュー論文執筆を行う予定だったが、そこまで達成できなかった。ただ、第二言語習得で言われている作動記憶の容量や、音韻処理能力の重要性が、第一言語から連続する問題であるという確信が文献から得られた。また、データ収集や分析に必要なテストやソフトなどを入手し、初級学習者のデータ収集を開始した。まだ少人数なので統計分析をするにはさらなるデータの蓄積が必要であるが、学習のつまずきの見られる学習者の数値的なデータが得られた。初期の日本語学習でつまずく学習者には音をリピートすることすら難しいという問題が見られることは経験的に感じていたが、今回実際にそのような学習者がおり、さまざまな音韻処理テスト(母語である英語に基づくテスト)でも、他の学習者より著しく低い点数であった。動機づけや学習スタイルなど言語適性以外の調査も行っており、それらと関連づけた事例研究として、引き続き観察を行うことにした。
|