2008 Fiscal Year Annual Research Report
英語リスニングでの閾値仮説とボトムアップ処理:高周波音域弁別と子音聞き取り能力
Project/Area Number |
20520506
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
東矢 光代 University of the Ryukyus, 法文学部, 准教授 (00295289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞邉 一近 日本大学, 大学院・総合社会情報研究科, 教授 (80209676)
石津 希代子 福井医療短期大学, 医歯学系, 講師 (10446180)
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Keywords | 英語リスニング / 閾値仮説 / 高周波音声弁別 / 子音の聞き取り / ボトムアップ処理 |
Research Abstract |
研究計画初年度はまず英語のリスニングにおいて「高周波音域の聞き取り」を問題としている学習法として「トマティスメソッド」「傳田式」「英語耳」などを、文献をもとにその内容および理論背景の信ぴょう性について審議した。その結果、これら市販の教材の説明にある「英語は子音中心の言語であるため、その聴解は高周波音声の聞き取りを必要とする」とする説明はかなり粗雑であることがわかり、さらに音響音声学の文献にあたった。音響音声学の音素弁別実験の結果などとも合わせ、確かに高周波の音声素性がリスニングのボトムアップ処理に影響を及ぼしている可能性は示唆された。しかし「高周波音声」の聞き取りといっても「音の知覚」が問題なのではなく、音素のカテゴリー知覚、その中でも「時間分解能」の重要性に着目すべきであることが、本年度の議論で明らかになってきた。さらに聴解の情報処理モデルを用いると、音素のカテゴリー知覚はより高次の情報単位である「単語」や「文」という意味の塊によってoverrideされる可能性が高い。文(単語)の意味と子音そのものが矛盾する場合、聞き手はどちらの情報を優先するのか、またそれは習熟度によって異なるのか。以上のような文献研究の成果を元に2年目は、高周波域で時間分解能を必要とする音素のカテゴリー知覚を測定するプログラム、および文法・意味が、含まれる単語の意味と相反する条件を含む語彙同定プログラムを構築し、データ収集を行なう予定である。また今年度の文献研究は論文として準備中であり、来年度投稿の予定である。
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Research Products
(2 results)