2008 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語の読みにおける下位スキルの発達が理解度に与える影響
Project/Area Number |
20520522
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
田口 悦男 Daito Bunka University, 外国語学部, 教授 (60255974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 祥子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (20054835)
ケーブリエル リー 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (90407651)
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Keywords | リピーティッド・リーディング / 読みの流暢さ / リーディング・コンプリヘンション / 単語認知 / 自動化理論 / Verbal Efficiency Theory / リーディング |
Research Abstract |
平成20年8月に開催された第15回国際応用言語学会世界大会(AILA 2008)において第二言語運用能力の高い読み手にRepeated Reading (RR)がどのような影響を与えるかについて発表した。高度な読解能力を持ち、読みに関する認知、メタ認知ストラテジーを効果的に使用することができる第二言語の学習者を協力者にしたdiary studyを行い、量的データである黙読速度と質的データであるRRの取り組みのプロセスを記した記録データにより、RRは自然な形で読みの流暢さ(reading fluency)を育む有効な方法であることを示した。高度な読解能力を持った読み手においても、黙読速度に表われる第二言語による読みの流暢さは未発達であり、RRは自然な形でその発達を促す方法であることを明らかにすることができた。理論、そして実践の面からも読みの流暢さの発達を促す方法としては多読(extensive reading)が普及しつつあるが、第二言語、そして外国語による読みにおいては1回のみの読みではテキスト情報の処理がうまく行かず、理解度が低く、テキスト中の細部にわたる理解には至らず、テキスト中の問題箇所も把握できないことが多い。これは選択的注意の容量の多くを単語認知などの下位プロセスに割かざるを得ないからである。RRが多読を補完し、常に高いレベルのテキストの理解度を保ちながら、読み手の語彙知識や文法知識を最大限に引き出し、読みのスキルを向上させるのに有効な方法であることを本研究で実証的に示したい。平成20年度は研究責任者が自分の所属する学科主任を務め、多忙であったため、本研究の実験準備に少し遅れが出てしまった。平成21年度は既に選定したRR教材に基づき、RRの効果測定のためのテスト、及び文法テストの開発を行う予定である。また、予備実験を行い、問題点を洗い出し、想定外の問題が生じるのを回避する。
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Research Products
(2 results)