2008 Fiscal Year Annual Research Report
イマージョン教育と伝統的な外国語教育に於ける音声の習得と維持
Project/Area Number |
20520527
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原田 哲男 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 教授 (60208676)
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Keywords | 応用言語学 / 第二言語習得 / 音声習得 / 音声維持 / イマージョン教育 / VOT / 促音 / 早期言語教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イマージョン教育により幼稚園・小学校低学年から外国語に触れ、その後中学校から普通の伝統的なカリキュラムで外国語教育を行なった場合、年少の頃に習得した音声や音韻体系が大人になっても維持できるかを検証することにある。本年度は、幼稚園から小学校まで米国の日本語イマージョンプログラムに在籍していた大学生(n=10)と高校から従来のカリキュラムで日本語を学習した大学生(n=10)を比較し、音声体系がどのように異なるかを調査した。日本語と英語のVoioe Onset Time (VOT)と日本語の促音・非促音の生成に焦点を当てて、VOTは日英とも語頭の[p, t, k]、促音・非促音は[pp, tt, kk: p, t, k]の持続時間を音響分析した。両グループとも、1)学習開始時期に関わらず、日本語と英語のVOTと日本語の促音・非促音を区別しており、2)両グループのVOTと促音・非促音の持続時間には、有意差が見られなかった(VOT: p=.71、促音・非促音の持続時間p=.13)。年少期の教室ではなく、自然な環境での外国語の音声インプットは、その後長い間その言語に触れなくとも、大人になってから学習を再開した場合、音声習得に良い影響を与える(Knightly, Jun, Oh, and Au,2003)とされているが、幼少期から外国語学習を始めた場合でも、イマージョン教育のような教室での限られたインプットでは、青年期から開始した学習者と子音の音声特徴が同じであることが判明したのは興味深い。この結果は、一般に早期言語教育が音声習得に良い影響を及ぼすという考え方に相反するもので、注目に値する。
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Research Products
(4 results)