2011 Fiscal Year Annual Research Report
初等教育における新しい機器を利用した英語教育研究-3年間の実践と追跡調査を中心に
Project/Area Number |
20520534
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大岩 昌子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50340360)
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Keywords | 初等教育 / 電子耳装置 / 英語音声教育 / 音響分析 / 文字指導 / 音声知覚 / 音声産出 / 歌の利用 |
Research Abstract |
本年度もこれまでの2年間で行った実験に引き続き取り組んだ。具体的スケジュールとしては、第5回が平成23年4月~7月までの全10回、第6回が平成23年9月~12月までの全10回であり、両実験とも参加人数は14名であった。今年度は本研究の最終年度ということもあり、これまでの実験も併せ、これらの結果、考察などについて、現在印刷中の「小学校における英語教育の方向性-3年間の実践に基づく考察-」で詳しく報告している。具体的には、6回の実験前後に行った語音知覚および産出テストの結果および個人的児童を観察して受けた印象から、1.電子耳装置を導入したプログラムについて、2.カタカナについて、3.文字の指導、4.「歌」の利用について言及し、今後の小学校の英語教育の方向性を検討した。本研究は電子耳装置を早期英語教育に応用する初めての試みであり、その可能性を探ることを第1の目的としているが、まず実験1の結果から分かるように、語音の知覚、産出にはある程度の成果が認められている。ただし、発音を明示的に説明した実験5では、聴き取りの全体時間は約半分であるものの、知覚、産出ともにより改善が認められている。換言すれば、電子耳装置により英語を聴き取るだけでも、語音の知覚、産出にある程度の効果は認められるが、語音の性質、例えば、日本語にはない音であることや、調音法をスペルとともに明示的に与えることで、成果はそれぞれ高まることが明らかとなった。本研究はもともと音声の専門家がいなくとも持続可能な音声教育を考えることを目的としているが、こうした電子耳プログラムを利用すれば、小学校において英語を専門としない担任教諭が充分に英語音声教育を担当できると思われる。なにより同法では、児童が30分程度英語に浸ることができ、この中で英語音声を印象づけ、そこに意識を持たせることができる。こうした小学校での英語教育は中学校へのスムーズな橋渡しとして重要な位置を占めるだけでなく、その後のコミュニケーションを支える力の涵養を目指す上で大きな機能を果たすであろう。
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