2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520537
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
朝尾 幸次郎 Ritsumeikan University, 文学部, 教授 (40102462)
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Keywords | 英語 / ライティング / 到達度 / プロファイル / コーパス |
Research Abstract |
日本人英語学習者の書く英語と英語母語話者の書く英語を語連結の観点からと比べると大きな違いが浮かび上がる。そのひとつが定型表現である。学習者、母語話者ともに定型表現の使用は多数みられる。しかし、その頻度と使い方には大きな差がある。学習者の英語における語連結でよくみられる代表的なものは、3-gramではI think that, I want to, a lot of, all over the, it is becauseなど、4-gramではI think that the, I want to beなどである。学習者の英語においては、2語連結のI thinkやfor exampleなどの表現が英語母語話者に比べ過剰に使用される傾向があることはすでにいくつかの報告がある。上の結果は2語連結に限らず、特定の定型表現について学習者が広く過剰使用をする傾向があることを示すものである。 トピックの違いが文章のスタイルに影響を与えていることは昨年度の調査の結果からあきらかになった点のひとつである。トピック、ジャンルを考慮に入れず、学習者の書く英語の「英語らしさ」を評価するのは危うい。センテンスのレベルで統語的に英語らしさが表れていても、テキストとしての英語らしさが保証されるわけではない。学習者の書く英語の特徴はジャンルによるスタイル、また、口語、文語のスピーチレベルの意識がされていない点である。このため、論説文、解説文のような客観的なスタイルが求められる場合であっても、多くのセンテンスが1で始まったり、thinkのような主観的な動詞が使われていたりする。英語らしさの判定にはジャンルを考慮に入れることが必要である。英語らしさの判定はひとつの指標だけで行うことはできず、複数の視点から行う必要がある。
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