2008 Fiscal Year Annual Research Report
海外短期語学研修が英語力養成に及ぼす影響について-作文力の向上と化石化現象-
Project/Area Number |
20520551
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉村 紀子 University of Shizuoka, 国際関係学部, 教授 (90129891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 隆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60448701)
武田 修一 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (80137067)
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Keywords | 海外語学研修 / 英語作文学習 / 化石化現象 / 第二言語習得 / 機能範疇習得 / 形態素習得 / 格表示 / 統語構造理解 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、静岡県立大学が毎夏オハイオ州立大学(米国・コンパス市)において実施する「静岡夏期英語研修プログラム」(Shizuoka Summer English Program, SSEP)の参加学部生を被験者として英語表現力の向上と機能形態素(例えば、3人称単数現在形-s、過去形-ed)の習得について調査研究し、第二言語習得の本質解明に貢献することを目的とする。 2008年度は、12名がSSEP(8月4日〜8月22日・3週間)に参加した。事前準備としてオリエンテーションを3回実施し、貸与したiPodを用いてポッドキャストを活用し、積極的にリスニング力の向上を目指すように指導した。英語習得に関する調査は、12名の被験者が研修前後に受けた団体ミシガンテストのスコアと自由英作文に基づき行い、2005年〜2007年の同様のデータと比較分析した。 主な調査結果をまとめると、以下の3点である。 (1)ディスカッションやプレゼンテーションを主体とする海外短期研修は、リスニング力や文法・語彙力にある程度の向上は見られたが、「論理的な自己表現力」の養成においては非常に有益であることが確認された。(2)参加者の英作文をセンテンスレベルで分析した結果、統語的には大きな問題点は見られなかった(例えば主語のない文はほとんど見られなかった)。 (3)しかしながら、形態素の間違いは数多く見られ、特に3人称単数現在の屈折要素/-s/は過去形の屈折要/-ed/と比較しても習得が困難であることが分かった。 以上、特に(2)と(3)の結果から、第二言語習得において、母語の干渉は統語の領域には見られないが、形態素領域においては重要な影響が出ることが実証的に示されたことになる。 研究協力者:中山峰治(オハイオ州立大学東アジア言語文学部准教授・静岡県立大学客員教授)
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Research Products
(15 results)