2010 Fiscal Year Annual Research Report
海外短期語学研修が英語力養成に及ぼす影響について―作文力の向上と化石化現象―
Project/Area Number |
20520551
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉村 紀子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (90129891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 隆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60448701)
武田 修一 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (80137067)
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Keywords | 海外英語研修 / 化石化現象 / 臨界期 / 形態素習得 / WH-移動 / EPP / 虚辞詞 / 英語表現力 |
Research Abstract |
本年度は本研究プロジェクトのまとめとして、オハイオ州立大学で8月に実施された「静岡夏期英語研修プログラム」(3週間)に参加した大学生12名のミシガンテストの結果(特に自由英作文)及び日本で学習する大学生に実施したGrammar Acceptability Test(文法性容認度テスト)の結果に基づき、次の2点-(1)オーダーメイドによるプレゼンテーション中心の短期研修が英語力の向上に役立つかどうか、(2)日本語母語話者の英語習得上の問題点を統語と形態素のモジュールから捉え直すとどのような特徴が見えてくるのか-に考察の焦点を置いて検証を行った。 分析の結果、(1)集中プレゼン学習は英語表現力の養成、特に論旨の展開力の養成に効果的であること、また(2)形態素/s/(3人称単数・名詞複数形)の習得はむずかしく化石化する傾向にある一方、日本語にないWH-移動や主語の顕在化に関しては習熟度の向上に比例して誤りを克服できることが明らかになった。つまり、日本語の影響は形態において見られるものの、統語には顕著に生じないことが分かった。これらの点から、母語の影響や転移に特別に留意する指導ではなく、学習者のアウトプットを重視した談話学習と形態素の習得に繋がる明示的な文法学習を促進する指導が重要であるという結論に至った。 なお、考察の詳細については、下記に挙げた論文・発表を参照されたい。また、総括として、3年間の成果を『海外短期英語研修と第2言語習得』(吉村紀子・中山峰治著、ひつじ書房、2010年4月)にまとめた。 【研究協力者】中山峰治(オハイオ州立大学・東アジア言語文学部・教授)
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Research Products
(12 results)