2009 Fiscal Year Annual Research Report
東大寺文書燈油田大湯屋田関連史料をケースとした巨大中世史料群の構造解析方法の探究
Project/Area Number |
20520566
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 基郎 The University of Tokyo, 史料編纂所, 准教授 (40251475)
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Keywords | 東大寺文書 / 東大寺燈油田 / 寺院史料論 / 中世後期の寺院史 / 東大寺油倉 |
Research Abstract |
中世東大寺の燈油田関連史料の全貌を解明する上で、中核となる東大寺図書館所蔵未成巻文書第1部第17(燈油田及大湯屋田)について、翻刻作業を進めた。その過程で、差出、宛所、無年号文書の年号などを比定し、あわせて約15点の前欠・後欠文書について、接続文書を発見することができた。その結果、第1部第17では、油倉関係者である燈油聖作成の下書きが多く、油倉伝来文書として把握すべきとの見通しが再確認された。第1部第17以外の部分でも、第1部第24(雑荘)を中心に関連文書の翻刻を行った。中世東大寺の中核となる文書目録についてリストアップを行ない、燈油田関連史料との関係を追求し、多様な保管場所があることが明確となった。そこで得られた見通しをもとに、現状の東大寺図書館所蔵文書の中に、どのように油倉関係文書が含まれているかなどの点について代表者遠藤は講演を行った〔学会発表〕。さらに、油倉文書のみならず、他の院家文書との関係についても問題を発展させ、尊勝院伝来文書の事例研究を発表した(『東京大学史料編纂所影印叢書5平安鎌倉古文書集』〔八木書店、2009〕の「東大寺造営領周防国文書」解説〔41p〕)。 東大寺図書館以外に所蔵される燈油田関係史料の蒐集のために、昨年度に引き続き京都市歴史資料館所蔵燈心文庫の調査・撮影を行った。また奈良市立史料保存館では、参考となる近世の燈油納所関係史料の調査・撮影を、また東大寺と密接な関わりをもつ興福寺関係の調査・撮影を行った。 連携研究者である西尾知己助手(早稲田大学)は、本研究課題のひとつである中世後期東大寺史の解明をさらに進め2本の学会報告をした〔学会発表〕。
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