2008 Fiscal Year Annual Research Report
江戸芸能市場の階層構造の析出とその歴史的変質に関する実証的研究
Project/Area Number |
20520572
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
GERALD Groemer University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (50303392)
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Keywords | 近世芸能史 / 芸能市場 / 門付け芸人 / 瞽女 |
Research Abstract |
本研究は江戸の芸能市場に大きな役割を果たした門付け芸、寺社境内に行われた神楽の上演、小規模の芝居などに着目し、史料に即して江戸の門付け芸、寺社境内などに行われた芸能の実態を把握し、その歴史的展開、興行の形態と入場料、上演された演目、芸人の社会的地位、観客の特徴などを明らかにする。このような分析によって、江戸の「芸能市場」の階層性の析出も可能となると思われる。 20年度には以下の研究に関わる作業と活動などを行った。 1、東京の主要な史料館、図書館、博物館の史料調査を行い、翻刻、編集、年表の作成などに着手した。発見した資料は当初に考えたより遙かに多いので、その翻刻・入力作業は時間も要することが分かった。 2、江戸の芸能市場の文脈を把握するため、浅草寺など江戸の寺社境内の芸能(神楽、びんざさら等)を観察し、録音・録画した資料の分析を行い、論文を執筆した(21年度に発表する予定であるが、査読付論文であるので、ジャーナルの都合により延期されることもありうる)。 3、外国、特に米国における芸能市場の研究、芸能に関する女性史の近年の動向を調査するため2週間渡米し、アリゾナ州立大学の教授と相談し、同大学附属図書館などにおいての芸能に関する資料を調査・収集した。 4、江戸の芸能市場の独自性をより具体的に把握するため、大阪など他の大都市の芝居や大衆芸能に関する具体的な分析を行い、論文を執筆し、2月日本文化研究センターのシンポジウムで発表した。 また様々な研究会、学会などに江戸の門付け芸人であった瞽女について口頭発表も行い、江戸の芸能市場の階層的構造について出席者と議論した。
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Research Products
(5 results)