2009 Fiscal Year Annual Research Report
江戸芸能市場の階層構造の析出とその歴史的変質に関する実証的研究
Project/Area Number |
20520572
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
GERALD Groemer University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (50303392)
|
Keywords | 江戸の芸能市場 / 浅草寺 / びんざさら / 瞽女 |
Research Abstract |
本研究は江戸の芸能市場に大きな役割を果たした門付け芸、寺社境内に行われた神楽の上演、小規模の芝居などに着目し、史料に即して江戸の門付け芸、寺社境内などに行われた芸能の実態を把握し、その歴史的展開、興行の形態と入場料、上演された演目、芸人の社会的地位、観客の特徴などを明らかにする。このような分析によって、江戸の「芸能市場」の階層性も可能となると思われる。 21年度の主な研究活動は以下の通りである。 1、旧幕府引継書を中心に史料調査を行い、翻刻、編集、年表の作成などを継続した。その翻刻・入力作業を行った。また、翻刻・入力をしながら、小芝居の所在地(湯島天神、浅草寺境内、市ヶ谷八幡宮、両国東西の広小路など)を確認し、役者名、演目などに注目し、大芝居との関係、関西の芝居の関係、あるいは芸能市場の階層性によって分類し、研究論文の作成に向けての作業に着手した。 2、芸能市場の階層的構造の一翼を担った宗教的芸能(または民間信仰に関連する芸能)にまず研究の対象とし、浅草寺の寺社境内の芸能(三社祭りに伴う「びんざさら舞」)を再度観察した。数時間の演奏と踊りを録音・録画し、そして収録した資料を採譜し、音楽学的な視野からその分析を行った。この分析によって、「びんざさら舞」にはいくつかの異質な音楽的素材が混在していることがわかり、その具体的な構造を把握することに成功した。20年度執筆した論文とともに、3つの学術雑誌に提出した。 以上の活動に加え、いくつかの研究会、大学などに江戸の門付け芸人であった瞽女について口頭発表も行い、江戸の芸能市場の階層的構造について出席者と議論した。
|