2011 Fiscal Year Annual Research Report
江戸芸能市場の階層構造の析出とその歴史的変質に関する実証的研究
Project/Area Number |
20520572
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
GERALD Groemer 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (50303392)
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Keywords | 江戸の芸能市場 / 門付け芸 / 大道芸 / 瞽女 / 民間信仰と芸能 |
Research Abstract |
本研究は、江戸の芸能市場に大きな役割を果たした門付け芸人、大道芸人、あるいは寺社境内に様々な芸能を上演した民間芸能者を、史料に即してその実態を把握し、彼らの歴史的展開を分析することを目標としている。実証的な分析によって、江戸の「芸能市場」の階層性の析出も可能となると思われる。平成23年度の主な研究活動は以下の通りである。 1.東京の図書館を中心に、関東地方の市町村史を中心に史料調査を継続し、江戸の古文書の翻刻作業とその分析も行い、その成果を論文にまとめはじめた。まず神事舞大夫頭として江戸とその周辺地域に多くの芸能を司っていた田村八大夫とその部下の神事舞大夫たちの活動に注目し、浅草寺の「びんざさら舞」と関東地方に普及した「田楽」と関連芸能の実態に関する論文を執筆し、学術雑誌に発表した。 2.江戸の門付け芸の重要な役割を果たした盲人女性の「瞽女」に関する発見した資料を基に、芸能市場の階層的構造の分析を行い、論文をまとめ、学術雑誌に発表した。 3.江戸の芸能市場の特質をより正確に把握するため近世の大阪(大坂)の芸能市場の分析も行い、平成24年の出版が確定している。 4.過去4年間の研究の総仕上げとして、江戸の芸能市場の実態を分析する単著の原稿を執筆した。主な主題は(1)江戸の門付け芸人の経済基盤、(2)弾左衛門、車善七の芸人の支配体勢、(3)宗教・民間信仰の芸能の創造と普及、(4)「乞胸」の芸能とその社会的意義、(5)「香具師」の組織と芸能、(6)明治政府の諸政策と門付け芸・大道芸への影響。分析の重点は江戸時代の芸能市場の実態とその階層性においた。現在には単著の執筆作業がほぼ終了し、平成25年に出版することを目指す。
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Research Products
(4 results)