2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後における被差別部落表象の他のマイノリティとの比較史的研究
Project/Area Number |
20520574
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
黒川 みどり Shizuoka University, 教育学部, 教授 (60283321)
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Keywords | 部落問題 / 人種 / 表象 / 映画 |
Research Abstract |
当該年度は、戦後まもない1946年と1969年に上映された二つの「破戒」映画の制作の背景を、部落解放全国委員会、部落解放同盟機関紙『解放新聞』などに寄りながら調査した。またそれらがどのように受け止められたのかについても合わせて分析した。それらを踏まえつつ、二つの作品を比較し、戦後民主主義のなかで封建制打破への期待が高かった時期と、その期待も薄れ、高度経済成長期にさしかかっても部落解放が実現しない時期との部落問題の表象の仕方の違いを考察した。すなわち2つの作品をとおして、部落問題のありよう、ひいては敗戦直後と1960年代の部落問題をとりまく社会のありようを照射することでもある。では、1980年代になるとそれがどう変化していくのか。被差別部落の自己表象のありようが大きく変わるのが当該時期であり、それを映画「人間の街」をとおして分析した。この作品についても、『解放新聞』等の文献資料を収集して、制作の背景、受け止められ方を明らかにし、映像の分析を行った。 「破戒」の分析結果は、本年度、京都大学人文研究所の研究会で報告予定である。
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