2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520575
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荒川 章二 Shizuoka University, 情報学部, 教授 (30202732)
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Keywords | 軍用地 / 軍都 / 米軍基地 / 陸軍 / 海軍 |
Research Abstract |
(1) 本年度の重点課題の一つとした陸軍省「大日記乙輯」(防衛研究所戦史部所蔵)からの土地取得関係の継続調査については、太平洋戦争期の航空基地用地の取得区域に係る調査を優先したため、進展が得られなかった。前者の課題は平成21年度前半に行う。後者については、防衛研究所図書館調査により、海軍中心に全国規模及び占領地での基地建設を含めて軍用地の広がりにつき大きな成果が得られた。資料が劣化し複写が難しいが、大日記では得られない時期のデータとして貴重である。 (2) 軍用地を擁した地域の調査では、戦前から戦後へ架橋する形で調査を実施した。金沢にて、戦前金沢市の軍用地、および戦後の小松基地関係、仙台では、明治からの仙台市内軍用地資料および仙台市内の現自衛隊関係資料、および宮城県内の演習場関係資料、三沢では、戦前の軍馬育成所として軍用化する過程から、戦後の米軍・自衛隊共用基地としての展開とその問題に関する資料、また、長崎県の調査では、佐世保市の海軍軍用地と戦後の推移について包括的なデータを得ることができ、さらに長崎の軍需工場関連の調査も行った。このほか、御殿場調査では、字レベルからの戦後軍用地に関する資料調査を行うことができた。調査を通じて実感したことは、現時点での基地および演習場相互運用に注目することの重要性である。基地機能の相互関連性に十分に注目して今後の調査を実施していきたい。 (3) 本年度の最大の成果は、従来私自身が行ってきなかった海軍軍用地に関する調査方法の道が開けたことである。防衛研究所所蔵資料と佐世保調査により、海軍用地に関する大まかな見通しがつきつつあり、当初予定どおり、海軍軍用地に関しては、呉・横須賀の再調査を含めて、次年度の重点課題としていきたい。
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