2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520575
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荒川 章二 Shizuoka University, 情報学部, 教授 (30202732)
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Keywords | 軍用地 / 軍都 / 米軍基地 / 陸軍 / 海軍 |
Research Abstract |
(1)本年度の重点課題の一つであった軍用地の現地調査に関しては、H21年度実施計画に盛り込んだ(1)九州中西部地域につき、熊本と大分布、日出生台学習場(由布院)、(2)茨城県の百里を中心とする霞ヶ浦周辺の軍用地、(3)石川県小松基地、(4)東富士学習場の継続調査と北富士演習場調査、(5)岩国基地の継続調査を実施した。 このうち(5)は、本科研費以外の経費による調査であるが、同基地問題に長く関わってきた元岩国市議の貴重な基地資料が得られた。しかし、防衛庁資料の調査および海軍軍用地の継続調査については時間を割けず、最終年度への課題として積み残した。 (2)本年度の現地調査と関連文献の収集により得られた主な知見は以下の諸点である。 (1)基地の立地条件を考慮することの重要性である。海兵的戦力が重視された戦後の軍事戦略のもとでは、演習場への海からのアクセスの良さが求められた。又航空基地に関しても海上や湖水を擁する訓練空域の設定が考慮されたと思われる。今後、基地整理と集中化の過程をこの面を重視して考察する。 (2)関東地域(首都周辺)軍用地の分布を改めて考察する必要性である。従来より、神奈川県への米軍基地の集中は指摘されていることろであるが、これに自衛隊基地の分布、およびその自衛隊基地が有する基地機能の特殊性を見極める必要がある。すなわち(1)、(2)を通じて、「軍用地の地政学」的視点をより精密化していく。 (3)当初予定にはなかった北富士演習場への調査を組み込んだが、その理由は戦後の演習地問題における入会地問題の意味を総合的に考察する必要である。富士山を南北につなぐ両演習場を対象に、入会権の観点から演習場問題の分析方法を考える。
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