2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520575
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荒川 章二 静岡大学, 情報学部, 教授 (30202732)
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Keywords | 軍用地 / 軍都 / 米軍基地 / 陸軍 / 海軍 |
Research Abstract |
本年度は、航空自衛隊松島基地、鹿児島県知覧地区、同県鹿屋航空隊を主たる調査地とし、あわせて沖縄基地問題を継続調査した。前3者は、日中戦争前後、あるいは太平洋戦争初期に開設され、太平洋戦争末期に周辺地域を含めて特攻基地化していく基地群である。前年度の調査地域である茨城県の基地群とあわせて戦時的変容=急速な軍用地化が最も集中的に現れた地域であることが、調査により改めて確認できた。 沖縄の嘉手納・読谷など主要な基地群も本土の特攻基地化の時期と軌を一にして建設された。沖縄への視野を常に意識することで、対外戦争の総力戦化と航空戦力の増強、そして本土と沖縄を貫く特攻作戦重点基地化を、軍用地問題の側からもとらえうるという展望を得た。関連する研究成果としては、「基地の起源と自治体・地域社会」(東京市政調査会『都市問題』101巻11号)で概要をまとめたが、さらに次期の研究に引き継ぎたい。 本年の課題の一つであった東富士演習場の戦後史に関しては、「東富士演習場と地域社会一占領期の基地問題一」(粟屋憲太郎編『近現代日本の戦争と平和』)として、占領期の動向を論文化した。同論文では、日本陸軍軍用地時代と占領期の米軍軍用地の性格の差異を具体的に指摘し、かつ、米軍占領時代は、占領軍基地としての性格と朝鮮戦争の実戦部隊としての国連軍基地としての性格の連続性と相違を明らかにし、戦後的変容の多層性を実証した。昨年度に調査の北富士演習場、日出生台演習場を含めて、1950年代末までの軍用地問題を総合的に考察することは今後の課題に残されたが、基礎資料の収集は、昨年度調査と本年度調査によりほぼ完了した。
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