2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520577
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
羽賀 祥二 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30127120)
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Keywords | 木曽三川 / 治水事業 / 濃尾震災 / 歴史災害 / 災害記念碑 / 地域環境史 |
Research Abstract |
本研究は19世紀日本における歴史災害(地震・洪水)や山崩れ・「はげ山」」などの山林問題、また防災や環境の保全を図る治水・治山政策を素材にして、歴史災害や環境問題がどのように地域共同体を変容させ、また文化的・民俗的な特質が地域に刻印させたのかを考察する。本研究はフィールドとして木曽三川流域を選んでいるが、この流域は木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)とその支流として中小河川から構成されるが、近世以来たび重なる洪水や山崩れなど深刻な災害を生み出してきたし、また1891年には濃尾震災が起きた地域でもある。この地域における歴史災害の様相を検討するための基礎資料として、本年度は昨年に引き続いて、愛知県内の自治体史における歴史災害関係史料を収集する作業を行った。これによって現在の愛知・岐阜両県下の震災関係資料の概要を把握することが可能となった。また、昨年度に引き続き、仏教教団の雑誌である『明教新誌』の中から、仏教教団の濃尾震災や水害に関する史料を収集し分析する作業を継続し、仏教による救済活動にまとめをおこなう準備を整えた。今年度は濃尾震災後の地域社会の動向を考察した論文を発表するとともに、愛知県内の災害記念碑・治水活動について、広島史学研究会で「19世紀日本の記念碑文化」と題して報告する機会を得ることができた。この内容は2011年刊行の同学会誌に掲載されることになっている。
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