2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 富廣 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50198280)
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Keywords | 検地 / 地租改正 / 村落共同体 / 開墾 / 禿山 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近世・近代における開墾の様相を瀬戸内海および中国山地を対象として明らかにすることである。本年度は山口県文書館を中心として周防大島の史料を収集し、また島根県雲南市において田部家文書を調査するとともに、前年度までに蒐集した史料の分析を行い、研究の一応の総括を試みた。 今年度の研究成果として、(1)芸予諸島および周防大島においては、近世期に開墾が進み、村によっては山林面積より田畑面積が広い村が多数にのぼること、(2)これらの地域では金肥の導入によって、肥料減としての山林の地位が低下しつつあったこと、(3)また中国山地地域においても切添えによる開墾が進み、さらに畑地の水田化など水利設備の整備によって、19世紀に入ると米の反当収量が2石をこえるようになったこと、(4)防長両国においては、18世紀半ばの宝暦検地以降、それぞれ3万町歩におよぶ開墾がなされていたこと、(5)伊予国においても島嶼部の耕地増加率が高く、芸備地方と同様の傾向を見せていたことを明らかにした。以上は、藩営新田などをはるかに凌駕する農民的開墾であった。ここでは具体的数値をあげなかったが、近世期において郡村レベルで耕地面積の増加を明らかにした研究は余りみられなかった。 残された課題として、山林を開墾していくという行為と、山林資源の活用がどのような関係にあったのかについて、当時の環境問題と照らし合わせながら、さまざまな面から開墾について考察していく必要がある。
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Research Products
(1 results)