2009 Fiscal Year Annual Research Report
尚家文書の史料学的分析による近世琉球の国家と社会の特質に関する研究
Project/Area Number |
20520587
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊見山 和行 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (40211403)
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Keywords | 琉球史 / 尚家文書 / 国家的特質 / 社会的特質 / 冊封謝恩御使者渡唐日記 / テキストデータ / 新規撮影文書 |
Research Abstract |
本研究は、2006年に国宝指定を受けた「尚家文書」(琉球国王家=尚家関係および琉球王府関係文書を含む文書群)を史料学的に分析することを通して、近世琉球の国家と社会の特質の解明を主な目的とする。具体的には近世の琉球国家の特質(主に対中国との冊封・朝貢関係の再検討による)と、琉球社会の特質(近世琉球固有の士族と百姓身分の二大区分制の再検討による)を「尚家文書」を活用することによって分析・検討することにある。 本年度は、「尚家文書」中の冊封関係に関連する文書を検討した。「尚家文書」第189号「冊封謝恩御使者渡唐日記」および同190号「冊封謝恩御使者渡唐日記」の全文テキストデータの入力を行った。それによって中国へ派遣された、冊封に対する謝恩使節の実相が旧来以上に詳細に把握することが可能となった。謝恩使節の出発前における諸儀礼や北京までの道中における中国側の処遇など、旧来不明確であった部分が詳細に記録されていることによる。 文書の劣化から未撮影であった「尚家文書」の内、修復が実施されて撮影可能となった以下の文書をマイクロフィルム撮影によって収集した。第1号「納殿染賃例」、第71号「天使字蹟集」、第87号「冠船付御書院日記」、第165号「武具其外唐人江相尋候書付写」、第283号「唐御注文扣 帳当座」など。それらの文書の撮影・収集によって本科研のテーマをより一層、深めることが可能となった。
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Research Products
(3 results)