2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520591
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
横山 百合子 Chiba Keizai University, 経済学部, 教授 (20458657)
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Keywords | 身分 / 都市社会 / 仲間 / 家 / ジェンダー / 豪農問屋商人 |
Research Abstract |
研究の第2次年度(平成21年度)は、前年度調査の大阪市立大学奥家文書の解読・分析を行った。特に、奥三郎兵衛の日記と、同人の家族との書簡は、本研究の中心的素材となり、本年は、日記の読解・翻刻作業を主たる作業課題とした。この作業を通じて、江戸と和泉の本家との頻繁な往復、情報の伝達がうかがえると同時に、江戸店が形成する周辺地域との独自の関係も浮かび上がってきた。一方、奥家文書の理解を深めるために、東京都公文書館所蔵東京府関係史料から、維新期の土地関係諸法令を中心に史料翻刻作業を進めた。この成果は、「史料紹介東京府文書「府治類纂地輿」」(その二)、同(その三)に発表し、継続中である。この作業は、王政復古から明治4年までの時期を、単純に近代化諸課題の実現に邁進した時期とみるべきではなく、旧来の身分制の単純化・再編成を基調とする統治体制が構築された時期であるとする研究代表者の見地から、この時期の身分集団の解体・再編にむけて、法的にどのような政策が導入されていったのかを、都市においてあきらかにするものである。特に土地にかかわる諸法令の内容と実施経緯など、身分と空間をめぐる法的環境を明らかにすることは、最終年度において、豪農問屋商人の一類型としての奥家の身分制解体と近代への対応を評価する際の、分析軸の明確化のための作業として位置づけている。
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