2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520592
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白根 靖大 中央大学, 文学部, 教授 (80250653)
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Keywords | 中世史 / 中世系図論 / 系譜史料 / 系図 |
Research Abstract |
本年度は、(1)山形大学附属図書館に所蔵されている系譜史料の調査・分析の続きとその成果発表、(2)本研究が対象としている東北地方における系図研究の調査、(3)比較対象となり得る他の系譜史料の発掘、(4)全体の総括を行った。 (1)では、原本を閲覧して精査を行い、現存する系譜史料の相互関係について分析し、その成果を東北史学会において口頭発表した。具体的には、ある系図が訴訟の証拠文書の一つとして作成されたことを明らかにし、別に残されている南北朝期の訴訟の証拠文書群との関連性を指摘した。この発表は新知見を学界に提示したという意義がある。 (2)では、遠野南部家文書所収系図の研究に着目し、東北中世史研究会において開催された遠野南部家文書調査報告シンポジウムに参加して、意見交換を行った。今後の研究の進展に寄与する議論ができた。 (3)では、仙台市博物館に所蔵されている伊達家文書の原本調査を行った。その結果、文書群のまとまりが崩れずに現存していることが判明し、系譜史料の伝来を確認しながら分析できる研究対象として、貴重な史料であることがわかった。 (4)では、本研究が分析対象とした個別の系譜史料の史料的性格や史料的価値の確定、性格が異なる各系図が果たした役割等について考察を行った。その成果は、刊行が決定している拙著『系図の中世史』を通して公表する予定である。
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