2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520597
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 智 Waseda University, 高等研究所, 助教 (70468875)
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Keywords | 歴史図像学 / 肖像 / 軍神 / 文化史 / 勝軍地蔵 |
Research Abstract |
本研究は、中近世日本における軍神信仰とその図像をめぐる歴史図像学的研究である。13世紀に誕生した和製の地蔵菩薩=勝軍地蔵は、日本独自の国家・国土観念を背景に、中世武家政権から庶民にまで広く信仰され、その後の近代戦争や国民国家の成立・展開にも少なからぬ影響を与えた軍神であった。本研究は、800年間にわたる勝軍地蔵信仰とその図像の歴史的展開の解明を目的とする。 2年目にあたる本年度は、作品調査に重点をおき、勝軍地蔵・愛宕信仰関連史料・文献の収集・整理を継続した。調査について、(1)京都市上善寺所蔵「宇賀弁才天十二童子像」、(2)東京都檜原村伊勢清峯社所蔵「藤原鎌足像」、(3)茨城県桜川市萩原正嗣氏所蔵「藤原鎌足像」ほか仏像群、(4)横浜市鳥山三会寺管理「勝軍地蔵像」、(5)鹿児島県鹿児島市尚古集成館所蔵「島津忠久像」、(6)同川田神社所蔵「勝軍地蔵像」、(7)同さつま町宮之城歴史研修センター寄託「勝軍地蔵像」、(8)福岡市承天寺所蔵「勝軍地蔵像」などを実施。 加えて、(9)滋賀県愛荘町旧秦荘町史編纂室および滋賀大学経済学部史料館のご協力をえて、矢取地蔵伝承の舞台である旧安孫子荘と東近江市押立神社の古文書・現地調査、(10)熊本県立美術館および熊本市教育委員会のご協力をえて、池辺寺財宝管理委員会所蔵「池辺寺縁起絵巻」と「勝軍地蔵像」ほか仏像群の調査を実施した。これらにより、勝軍地蔵がもつ水の神としての性格について見通しをもつことができた。 そのほか瑞泉寺所蔵「豊臣秀次妻子像」にういて研究論文を公表した。また戦国期関東における藤原鎌足伝承と勝軍地蔵信仰の実態を解明した著書の刊行を予定している。
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Research Products
(2 results)