2010 Fiscal Year Annual Research Report
台湾総督府地方長官・内海忠司関係文書による植民地官僚研究
Project/Area Number |
20520601
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
近藤 正己 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70247956)
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Keywords | 日本近現代史 / 植民地研究 / 台湾 / 官僚研究 |
Research Abstract |
2010年5月29日に北海道大学で開催された日本台湾学会第12回学術大会第2分科会「台湾総督府地方長官・内海忠司からみた植民地支配」(企画責任者、座長、近藤)において、研究代表者、連携研究者、海外共同研究者は次のように研究発表した。 研究代表者 近藤正己(近畿大学)「内海忠司と『内海忠司関係文書』紹介」、「高雄軍港化における地域と軍」 連携研究者 駒込武(京都大学)「在台日本人ネットワークのなかの内海忠司」 連携研究者 北村嘉恵(北海道大学)「内海忠司日記を通じて見る台湾総督府地方長官の活動と人的つながり」 海外共同研究者 蔡慧玉(台湾・中央研究院)「在台植民地官僚の日々…内海忠司の日記を読む」 これらは、内海忠司の生い立ちから植民地官僚としての経歴を概観した論文、在台日本人民間人・台湾人・軍人との人的ネットワークという視点から分析した論文、家族との関係など日本人植民者としての「日常生活」という視点から分析を加えたものである。内海の日記には文官・武官・民間人との面会の記録が詳細に記されており、その数は姓名と経歴をほぼ確定できる者に限定したとしても1700名あまりにのぼる。そこに見られる人的ネットワークは、議会なき植民地において「政治」がどのように行われたかを把握するための重要な手がかりであり、その分析を通じて植民地政策の形成・施行の基幹部分を明らかにすることができた。また、家族同伴での娯楽のあり方など植民地における「日常生活」に関する分析は、数的には圧倒的に少数の外来者が支配民族として存在する植民地社会の特質を浮き彫りにした。これらの新たな研究によって、「植民地官僚」研究ばかりでなく植民地研究そのものを新たなステージに導いたと考えられる。
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Research Products
(1 results)