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2008 Fiscal Year Annual Research Report

日本古代の穢・罪観の変容に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 20520602
Research InstitutionKansai University of Welfare Sciences

Principal Investigator

森 明彦  Kansai University of Welfare Sciences, 社会福祉学部, 教授 (90231638)

Keywords穢観の変容 / 罪観の変容 / 三一権実論争 / 応和の宗論 / 被差別民 / 屠者 / 仲算 / 良源
Research Abstract

【平成20年度の研究成果の位置づけ】平成20年度の研究でもっとも進捗したのが、「研究の目的」の第二に掲げた、三一権実論争の第二の山場であった良源と仲算の応和の宗論が、屠者に対する新たな罪観・穢観を付与していく過程に与えた影響の解明であった。これは、中世的被差別民の中核である非人が主として罪を負った者として差別されているのに対し、屠者がいわゆる「穢多」として殺生を犯す罪人・悪人としてだけではなく、生まれついて穢れた存在として認識されるようになる経緯の解明という本補助金による研究の大きな課題の一つの中核的作業の位置にあるものである。
【具体的成果】従来、天台宗と法相宗ともに応和の宗論を自宗の勝利として描いているとの摧認識によって、応和の宗論による天台宗の打撃を無視する解釈が通説となっていた。しかし、天台座主良助の「学義禅門」・「天台法輪摧破法相外道銘」という天台側の史料に、良源が仲算に敗北した次第が詳しく記載されており、応和の宗論において法華一乗思想に大きな打撃が加えられたことを認める必要がある。そしてこの打撃の回避として各種の往生伝が作成され、天台側は屠者を五姓各別説の一闡提に相当する旃陀羅と位置づけ、屠者の極楽往生の伝記を悉有仏性・法華一乗思想の拠り所とした。この屠者を旃陀羅と位置づけたことが、屠者を生まれついての悪人であり、穢れた存在であるという観念を形成する事になった。以上が主たる成果であり、学術論文を一つ公にした。
【意義と重要性】研究成果の第一の意義は、従来ほとんど利用されることのなかった良助の著作を全面的に用いて応和の宗論の実態を解明したことである。このことにより、一権実論争自体の再評価にも大きな影響を与える事になろう。第二の意義は、悉有仏性説の立場から屠者に対する新たな差別思想を作り上げていった経過を明らかにした事であり、今後の被差別民史に大きな影響を与える事になろう。この二つの意義はそのまま本研究の重要性を示すものである

Research Products

(1 results)

All 2009

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 三一権実論争と被差別民-応和の宗論をめぐって-2009

    • Author(s)
      森明彦
    • Journal Title

      寺木伸明・中尾健次編著『部落史研究からの発信』解放出版社

      Pages: 39-53

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2010-06-10   Modified: 2016-04-21  

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