2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520603
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Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
森 宣雄 Eichi University, 人間文化共生学部, 准教授 (20441157)
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Keywords | 近現代史 / 日本史 / 沖縄学 / オーラルヒストリー / 社会思想史 / 社会運動史 |
Research Abstract |
私は、近現代東アジアの地域大国である日本と中国に挟まれた一種の緩衝地帯として国家帰属の面で変転を重ねてきた、沖縄・台湾・韓国の近現代の歴史経験を比較検討しつつ、沖縄の近現代史を中心的な研究テーマとしてきた。研究環境を整える前提として、資料収集・関係者のオーラルヒストリーの編集公刊などを行い、研究基盤の整備を進める一方で、主題的には、その「小国」としての歴史経験の中で育まれてきた思想の意義を明らかにする作業に取り組んできた。本研究は、米国統治下の沖縄戦後史(1945-72年)の中で、その最終段階となる施政権返還期(1969-72年:日米両国による沖縄施政権の返還決定から返還実施まで)における思想経験の独自性とその意義を明らかにし、併せて申請者の10年来の沖縄戦後史研究の集大成を完成させ、その成果を東アジアの近現代史をめぐる国際的な討議空間に向けて発信しようとする取り組みである。 平成21年度は、本務校の休暇期間、および通常授業期間に、資料収集と関係者へのインタビュー調査を引き続き行う一方、研究成果の公表にむけた大枠の理論の構築作業を進めた。理論面では、主に歴史哲学・人類学の方面での文献調査を行い、理論と実証を併せたその成果として、第1に沖縄戦後史の全体像を理論構築するために、沖縄戦後史を前半と後半に隔てる1958年の分岐点について実証的歴史研究を発表し、第2に沖縄戦後史と現在の関係を包括的に捉えるための論文を発表した。現在までに完成した原稿を公表する機会は、次年度に持ち越しとなっている。
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Research Products
(2 results)