2009 Fiscal Year Annual Research Report
キャフタ条約に関する総合的研究-中央ユーラシア史における位置付けをめぐって
Project/Area Number |
20520610
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
澁谷 浩一 Ibaraki University, 人文学部, 教授 (60261731)
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Keywords | キャフタ条約 / ブーラ条約 / ロシア / 清 / 中央ユーラシア |
Research Abstract |
本年度は,前年度に引き続き主としてキャフタ条約の締結過程の研究を行った。前年度は,キャフタ条約の締結交渉の前半部分,北京における交渉に重点を置き,草案の作成過程を解明した。本年度は,これを引き継ぐ形で,北京では合意することができなかった国境画定について,ブーラに場所を移して行われた交渉の経過をロシア・清双方の史料に基づいて検証し,ブーラ条約として締結された国境画定条約が北京での合意に組み込まれて全11箇条のキャフタ条約として最終的に成立する過程を解明した。従来の研究では,ブーラ条約は,国境画定条約としての独立した体裁を待った条約として捉えられてきたが,この条約を第3条としてそのうちに取り込んだキャフタ条約との関係については必ずしも明らかではなかった。本研究を通じて,ブーラ条約締結後にキャフタ条約の本当の意味での最終草案を作成した清側が,ブーラ条約を第3条として取り込む際にその文言に修正を加えたこと,その修正により,北京においてロシア側が作成したキャフタ条約最終草案の重要度が低下したことが明らかとなった。清側は,ブーラ条約の独立性を認めず,最終的に成立したキャフタ条約こそが,両国間の基本条約であると認識していたのであり,ロシア側もこれを受け入れざるを得なかったといえる。この点は,従来ロシア側史料に依拠しロシア側主導で進められてきたと考えられてきたキャフタ条約締結交渉のとらえ方に修正を迫る新知見であり,その後の中央ユーラシア地域の歴史を考える上でも無視できない論点であると考えられる。以上の内容は「ブーラ条約からキヤフタ条約へ」と題する論文としてまもなく発表する予定である。
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Research Products
(1 results)