2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520611
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 香織 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (10272121)
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Keywords | 西アジア / オスマン帝国 / 近代 / 海軍 / 海運 |
Research Abstract |
本研究は、オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々の出自(民族、宗教、出身地、社会階層等)を新たに発掘した人事関係等の史料を分析することにより明らかにし、近代オスマン帝国の社会構造を「ヒト」を核として見直そうと試みるものである。この目的を達成するために、(1)トルコ共和国総理府オスマン朝文書館所蔵の『船舶通行許可台帳』、(2)イスタンブル海軍博物館所蔵の『人事記録台帳』、(3)トルコ海運公社文書館所蔵の『給与台帳』や人事・年金支給関係書類という3つの異なるカテゴリーに属する史料群をとりあげ、それぞれについて「ヒト」の記録を出来るだけ丁寧に掘り起こす作業を行っている。 本年度も昨年に引き続き現地調査を行った。主な調査場所はイスタンブルのトルコ共和国総理府オスマン朝文書館、海軍博物館付属歴史文書館、トルコ海運公社資料室である。(1)については特に非ムスリムに関する台帳を閲覧した。(2)では前年度の調査を補完する作業を行った。(3)では人事記録簿の全容を把握するとともに、2冊分のデータをデジタルカメラによって撮影することにより相当数のサンプルを抽出することができた。これらのデータを過去に収集した史料と合わせて整理し、出身地別の統計などをとって分析を行った。以上の研究成果にもとづき、トルコ海運公社の史料のデータを解析した結果をトルコの学術雑誌に、海軍と海運双方の史料を比較検討した結果を『歴史人類』誌に学術論文として発表した。
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