2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520611
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
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Keywords | 西アジア / オスマン帝国 / 近代 / 海軍 / 海運 |
Research Abstract |
本研究は、オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々の出自(民族、宗教、出身地、社会階層等)を新たに発掘した人事関係等の史料を分析することにより明らかにし、近代オスマン帝国の社会構造を「ヒト」を核として見直そうと試みるものである。この目的を達成するために、(1)トルコ共和国総理府オスマン朝文書館所蔵の『船舶通行許可台帳』、(2)イスタンブル海軍博物館所蔵の『人事記録台帳』、(3)トルコ海運公社文書館所蔵の『給与台帳』や人事・年金支給関係書類という3つの異なるカテゴリーに属する史料群をとりあげ、それぞれについて「ヒト」の記録を出来るだけ丁寧に掘り起こす作業を行っている。 本年度も昨年に引き続き現地調査を行った。イスタンブルのトルコ共和国総理府オスマン朝文書館では『船舶通行許可台帳』の他海軍の人材徴用に関する史料を収集した。トルコ海運公社資料室では『人事記録台帳』全5冊のデータについてデジタルカメラによる撮影を完了した。アタテユルク図書館では19世紀末~20世紀初頭の海運関係の新聞記事の収集を行った。 5月26日、イスラーム地域研究機構定第11回例研究会において「オスマン帝国末期の海洋活動と黒海沿岸民-人事記録関係史料を手がかりに-」というテーマで中間報告を行った。また、11月24日、イスタンブル工科大学で行われた国際学会において、オスマン海運とナショナリズムについて基調講演を行った。
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