2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520611
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 東洋史 / 西アジア / オスマン帝国 / 近代 / 海運 / 海軍 |
Research Abstract |
本研究は、オスマン帝国において海洋活動にたずさわった人々の出自(民族、宗教、出身地、社会階層等)を新たに発掘した人事関係等の史料を分析することにより明らかにし、近代オスマン帝国の社会構造を「ヒト」を核として見直そうと試みたものである。この目的を達成するために、トルコ共和国首相府オスマン朝文書館所蔵の公文書、イスタンブル海軍博物館所蔵の「人事記録台帳」、トルコ海運公社文書館所蔵の「給与台帳」や個人記録文書といった史料群をとりあげ、それぞれについて「ヒト」の記録を出来るだけ丁寧に掘り起こす作業を行った。 本年度もトルコ共和国において現地調査を実施した。本研究の最終年度であるため、これまでに収集したデータの不備を補うことに重点を置き、史料の収集作業を終えることをめざした。その結果、トルコ海運の人事関係文書に関しては、オスマン帝国末期(一部トルコ共和国初期を含む)のほぼすべての文書にあたることができた。ただし、収集したデータが多岐にわたり情報量が膨大なため、すべての史料をデータ・ベース化するこには至らなかった。 構築したデータ・ベースにもとづき、オスマン帝国末期に海事に関わった人々の出自、キャリアパターンについて、一定の法則性を見出すに至った。その中でも注目すべき点は黒海沿岸出身者の重要性であり、このことがオスマン帝国近代史においていかなる意味を持つかについて考察を行い、研究ノートを作成した(小松論文:2013参照)。 さらに、19世紀末から20世紀初頭に発行されたオスマン語および欧米語の新聞の中から、海運関係の記事を収集し分析することにより、海運業におけるムスリムと非ムスリムの相克の構図を明らかにした。その結果、オスマン帝国における経済ナショナリズムがどのようなかたちで現れるに至ったのかについて、今後の考察の指針を提示することができた(小松論文:2012参照)。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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