2010 Fiscal Year Annual Research Report
近世朝鮮におけるイエズス会宣教師作製世界図の伝来とその受容に関する研究
Project/Area Number |
20520614
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 信昭 富山大学, 人文学部, 教授 (50206512)
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Keywords | 朝鮮史 / 東アジアキリスト教史 / イエズス会 |
Research Abstract |
平成22年度の研究は、昨年に続き仁祖時代(1623-49)前半を中心に、その時期に伝来した漢訳西学書について検討を加えてきた。検討の主な点は、いつ頃に誰がどのような漢訳西学書を伝えたのかということと、伝えられた書籍が当該社会にどのような影響をあたえたのかということであった。 仁祖9年(1631)に陳奏使鄭斗源が山東半島小野登州でイエズス会士ロドリゲスから西洋文物を贈与された事実は、よく知られているが、なぜ鄭斗源がロドリゲスから贈与されなければならなかったのか疑問に思っていた。この時期に活躍した士大夫の文集などを調査した結果。その一年半前に、同じ登州で、問安官の崔有海が天主教信徒の張〓と出会い、彼から利瑪竇(マテオリッチ)や艾儒略(ジュリオ・アレーニ)などのイエズス会宣教師等の動向や宣教師等が持っている学問を教授されたことが判明した。さらには叢書の『天学初函』を送ることも約束されていた。 以上の点については、「朝鮮仁祖人年問安官崔有海の伝聞した西学情報:陳奏使鄭斗源が西洋文物を贈与された遠因」と題して論文にまとめた。この論文は、現在、『朝鮮学報』誌に投稿し、査読中である。
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