2008 Fiscal Year Annual Research Report
アッバース朝書記史料による書記官僚社会と文書行政の総合的研究
Project/Area Number |
20520617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 和裕 Kyushu University, 人文科学研究院, 准教授 (70274404)
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Keywords | 東洋史 |
Research Abstract |
本研究は、10世紀アッバース朝・ブワイフ朝の書記官僚アブー・イスハーク・イブラーヒームが執筆した文書集を中心に、後期アッバース朝の文書行政と官僚社会のあり方を検討し、当時の書記官僚の形成した相互規定的文化や行政技術、規範意識などを明らかにすることを目的としている。このため、本年度は研究の第1年度として以下の作業を行った。 1,アブー・イスハーク・イブラーヒーム文書集の各種写本群を継続的に比較検討し、その構成と内容の把握に努めた。これにより、従来に引き続き、その詳細なあり方が判明しつつあり、歴史学的にきわめて重要なこの文書集の活用に、新たなる展開を開きつつある。 2.アッバース朝文書行政のあり方を検討するため、後期の代表的な書記典範であるクダーマ・ブン・ジャーファル『書記の流儀』、およびアッバース朝行政に大きな影響を受けたマムルーク朝の書記典範であるウマリー『高貴なる用語』の読解分析を進め、アブー・イスハーク・イブラーヒームの作成した文書群との対照検討に着手した。 3.同様に、イブン・アルアミードおよびサーヒブ・イブン・アッバードの文書集の写本および校訂の整理分析に着手し、来年度以降の本格的な検討に対する準備作業を進めた。 4.また以上の研究を進行する過程において、異教徒からの改宗者や奴隷出身者の、官僚組織や宮廷におけるプレゼンスの問題が、さらに検討すべき課題であることが明らかとなった。この問題について予備的な関連論文を執筆し、発表した。 5.以上と平行して、アッバース朝行政文書関連書目の購入整理を進め、九州大学人文系図書館所蔵図書として備品としての設置を実施した。
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Research Products
(2 results)