2009 Fiscal Year Annual Research Report
アッバース朝書記史料による書記官僚社会と文書行政の総合的研究
Project/Area Number |
20520617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 和裕 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (70274404)
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Keywords | 東洋史 |
Research Abstract |
本研究は、10世紀アッバース朝・ブワイフ朝の書記官僚アブー・イスハーク・イブラーヒームが執筆した文書集を中心に、後期アッバース朝の文書行政と官僚社会のあり方を検討し、当時の書記官僚の形成した相互規定的文化や行政技術、規範意識などを明らかにすることを目的としている。このため、本年度は研究の第2年度として以下の作業を行った。 1. アブー・イスハーク・イブラーヒーム文書集の各種写本群を継続的に比較検討し、その内容の分析を進めるとともに、イブン・アルアミードおよびサーヒブ・イブン・アッバードの文書集の内容および様式の検討に着手し、各文書集の内容の比較および体系的把握を行った。 2. 昨年に引き続き、アッバース朝後期の代表的な書記典範であるクダーマ・ブン・ジセーファル「書記の流儀』、およびアッバーズ朝行政に大きな影響を受けたマムルーク朝の書記典範であるウマリー『高貴なる用語』の読解分析を進め、特殊な行政用語の解析をすすめることによって、アブー・イスハーク・イブラーヒーム文書群の理解の深化に努めた。特に、アッバース朝期とマムルーク朝期のアフド文書の定義、様式の差異について検討をした。 3. 以上め結果を背景に、これまでに報告を行ったアフド文書様式に関する研究をより高度に組み直し、その成果を論文として発表した。 4. 以上と平行して、アッバース朝行政文書関連書目の購入整理を進め、九州大学人文系図書館所蔵図書として備品としての設置を実施した。また一部のマイクロフィルムの電子データ化を行った。
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Research Products
(1 results)