『三国遺事』の総合的研究

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20520618
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 木村 誠 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 教授 (40094263)
• Keywords: 『三国遺事』 / 書誌データ / 中宗壬申刊本 / 古刊本 / 韓国 / 今西本 / 蓬左文庫本 / 晩松文庫本

Research Abstract

本研究は、朝鮮古代史研究における基本文献の一つである『三国遺事』を総合的に調査・研究することを目的とするものであり、今年度は特に国内外に所蔵されている諸版本の調査に重点をおいて研究を実施した。実施した調査の内容は以下の通りである。
1、天理大学図書館所蔵本(今西本)の調査…蓬左文庫本、古刊本(趙鍾業本、梵魚寺本)との対比を行い、今西本の特徴を確認した。
2、名古屋市蓬左文庫所蔵本(蓬左文庫本)の調査…今西本、古刊本(趙鍾業本、梵魚寺本)との対比を行ったうえで、王暦〜巻3まで1張ごとに書誌データを採取した。
3、韓国梵魚寺所蔵本(梵魚寺本)の調査…国立晋州博物館において展示準備中の梵魚寺本を閲覧し、全体的特徴を確認した。
4、韓国高麗大學校大学院図書館所蔵本(晩松文庫本)の調査…原本を閲覧して全体的特徴を確認するとともに、原寸大の複写本から1張ごとの書誌データを採取した。
調査対象の内訳は中宗壬申刊本3(今西本、蓬左文庫本、晩松文庫本)、古刊本1(梵魚寺本)であり、今年度は壬申刊本の調査が中心となったが、特に、現存最古の壬申本といわれる晩松文庫本について全張の書誌データを得ることができたのは幸いであった。今後、このデータをもとに、他の諸刊本との比較検討を行うことが可能であり、次年度以降の調査・研究の基礎となる成果といえる。