2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520624
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
江川 式部 明治大学, 商学部, 講師 (70468825)
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Keywords | 東洋史 / 唐代 / 祭祀儀礼 / 地方社会 / 石刻史料 |
Research Abstract |
本年度は、本科研研究の最終年度であり、これまで収集・整理した文献及び石刻史料に基づき行った個別事例研究について、論文発表と学会報告を行った。 (1)唐代後半期の地方社会に関する先行研究の整理:前年度に続き、社邑・宗教等の研究動向について整理。 (2)南北朝晴唐祭祀儀礼研究文献目録の完成:既に作成した目録の補遺を作成。 (3)「唐代祭祀儀礼関連石刻資料目録」:碑文概要・作成過程・時期・所在・研究文献に関するデータを整理。 (4)藩鎮節度使間の交際に関する資料収集と集約:整理した史料をもとに「唐代の上墓儀礼」(『東方学』に論文発表)及び「唐代の遷葬」(東北中国学会で研究発表)の2つの個別事例研究を発表。 (5)唐代祭祀儀礼文物要覧の作成:「大唐元陵儀注」所載の礼物一覧を作成。 (6)個別事例研究の発表 1、唐代の遷葬に関する研究:2010年5月30日に東北中国学会にて研究発表を行った。当時よく行われていたいちど埋葬された墓を別所に遷すという風習が、具体的にどのような申請・手順・日程で行われるのかを明らかにした。 2、唐代の礼楽思想に関する研究:唐朝郊廟楽の思想的根拠となった為政者の礼楽思想とそれに基づいて構成された楽制について整理し、そのうえで日本が継受した釈奠等の中国由来儀礼における唐風雅楽との相違を指摘した。 3、唐代の廟制・家廟碑に関する研究:まず唐朝廟制の基本となった唐後半期における太廟制度の改革議論の経緯について論文を発表。また諸文献に残る唐家廟碑16点の史料内容を整理した。 (7)研究の総括:本研究の目的は中国における「礼」の社会への浸透を、唐代における具体的事例として把握分析することにあった。本年度は「上墓儀礼」「遷葬」「廟制」「礼楽思想」についての具体例を明らかにすることができ、中国社会における「礼」の浸透においては唐代が画期となっていたことが鮮明になった。本研究の成果により、唐代社会のこうした動きと「孝」に基づく五代・宋以後の社会へのつながりを考察することが可能となる。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 唐代の遷葬2010
Author(s)
江川式部
Organizer
第59回東北中国学会
Place of Presentation
青森県弘前市・アソベの森いわき荘
Year and Date
2010-05-30
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