2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦中の連合国教育相会議に関する歴史学的検討
Project/Area Number |
20520628
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣部 泉 明治大学, 政治経済学部, 教授 (80272475)
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Keywords | 西洋史 / 文化交流 / 国際機関 |
Research Abstract |
連合国教育相会議に至る過程や当時のロンドンの亡命政府を巡る状況などを検討する上で必要な歴史的理解を与えてくれる二次資料や、国際連盟関係のマイクロフィルムなどの一次資料の通読並びに分析を引き続き行うと共に、当該プロジェクトに関係する資料のうち、日本に存在しないものを特定し収集を続けた。本年度は特に前回収集した、イギリスとフランスの膨大な資料について、付き合わせる作業を行い完了した。当該会議の根本史料は会議実施場所を提供したイギリスと、後継機関の本部所在地となったフランスの英仏両国に所蔵されている。その資料の内容はほとんどが同一であるが、微妙に異なっており、その相違点についてつぶさに明らかにした。その相違は、英仏両国がどのようなヴィジョンから当該会議に参加し、どのように戦後に向けて思惑通りにことを運ぼうとしたのか違いによって生じていた。また、本年度はアメリカにおいて資料調査を実施した。非欧州国であるため、当初は当該会議にあまり関心を見せなかったアメリカが、自助に存在感を増していった。戦後国際秩序形成の過程において、アメリカが政治領域で主導権を握っていく中で、戦前保っていた国際政治における影響力の減退を食い止めるため、何とか主導できる分野を持ちたいと考えるフランスが、教育相会議を利用して、知的協力分野で主導権を握ろうとし、アメリカもそれを黙認し、イギリスはそれに従わざるを得なかったという流れであるとの暫定的見解を得た。
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