2008 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス商務院の組織的・政策的特質と失業保険制度の起源
Project/Area Number |
20520633
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松永 友有 Gunma University, 教育学部, 准教授 (50334082)
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Keywords | 地方行政院 / 保健省 / 商務院 / 社会政策 |
Research Abstract |
『群馬大学教育学部紀要人文・社会科-学編』第59号において、論説「イギリズにおげる地方行政院と保健省に,よる社会政策の展開-商務院との比較という視点から」を掲載した。 本論説においでは、19世紀後半かち1920年代にかけてイギリスにおける地方行政院、およびその後継組織たる保健省が構想・実施した各種の社会政策の性質を究明することを通じで、地方行政院、および保健省の組織的特質の解明を試みた。さらに、このようにして解明された地方行政院、および保健省の組織的・政策的特質との比較を通じて、イギリス商務院の組織的・政策的特質が照射された。 より具体的に言えば、守旧的・反動的官庁と一般にみなされてきた地方行政院の姿勢は、地方税負担を増大させる救貧支出の削減を期待されるという組織的役回りに規定されていたとみなし得る一方で、一時期の商務院のきねめて急進的な政策スタンスは、輸出貿易の拡大を至上任務とするという組織的役回りによって規定されていた、という論点の立証を試みたのである。こうした見解は、商務院の革新的政策スタンスや地方行攻院の守旧的政策スタンスの原因を単に各官庁に属する官僚の個人的資質に帰してきた従来の通説に重要な修正を迫るものであると言える。
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