2008 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世の環アルプス圏における移動とコミュニケーション
Project/Area Number |
20520637
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
千葉 敏之 Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (20345242)
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 交通 / 地図学 / アルプス山脈 / 神聖ローマ帝国 / コミュニケーション / ドイツ:イタリア:スイス:フランス |
Research Abstract |
本研究4ヵ年の計画の骨子は、(1) 移動経路に関する基礎研究とデータベース化、(2) 人材の移動に関する数量的データの構築と人材の質に関する調査、(3) 写本の移動と環アルプス圏修道院(写本処)の役割、(4) 皇帝の移動経路と証書発給行為の意味づけ、の4項目である。計画初年度にあたる平成20年度には、研究体制の整備と基本的な研究文献・刊行史料の収集・購入、および上記(1)の移動経路に関する基礎的分析作業が中心となった。具体的には、(1)データ解析用のパソコンの購入、(2)中世アルプスに関わる旅行案内・旅行記・巡礼記・地図史料のリスト作成と刊行史料の購入、(3)上記史料の分析と移動経路のデータベース化、(4)未刊行史料の文書館での収集、移動経路の実踏調査(夏期に海外出張を実施)、である。踏査によって得られた地形・旅程に関わるデータをまとめ、それを関連する史料箇所と照らし合わせ、また既存の研究成果と批判的に照合する作業に、帰国後すぐに着手したが、作業は現在も進行中である。この作業で得られたデータは、次年度以降の研究の基礎となるものである。さらに、アルプス文化圏(とくにイタリア)からエルサレムに巡礼し、帰国した聖職者や商人が、聖地巡礼の記念としてエルサレムの聖墳墓教会を模した「擬聖墳墓」を建造した事実について、とくに調査を行なった。その成果を、他の事例と比較しつつ、論文「都市を見立てる-擬聖墳墓建造に見るヨーロッパの都市観」にまとめた(共編著、東京大学出版会:2009年5月刊行予定)。
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