2010 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世の環アルプス圏における移動とコミュニケーション
Project/Area Number |
20520637
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
千葉 敏之 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (20345242)
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 交通 / 異文化交流 / 山岳 / 地図学 / 移動 / 峠 |
Research Abstract |
本研究4ヵ年の計画の骨子は、下記の4項目である。 (1)移動経路に関する基礎研究とデータベース化 (2)人材の移動に関する数量的データの構築と人材の質に関する調査 (3)写本の移動と環アルプス圏修道院(写本処)の役割 (4)皇帝の移動経路と証書発給行為の意味づけ 研究計画の3年目にあたる平成22年度には、研究体制のさらなる整備と研究上必要な文献・史料の収集・購入とともに、上記(2)の写本の移動と環アルプス圏修道院の役割に関する分析を継続し、上記(3)の調査を開始した。詳細は、以下の通りである。 (1)前年度の、人材の移動に関するデータベース化の完了と研究成果の一部公刊 (2)10・11世紀を中心とした写本の移動(貸借)についての調査(書簡史料・蔵書目録の分析) (3)環アルプス圏に集中する、高度な写本作成技術をもつ修道院の役割についての考究 (4)(2)(3)の結果を踏まえ、環アルプス圏における修道院の役割を、写本の流通という観点から総括今年度の研究は、写本の移動を対象としている。その追跡調査に際しては、国際古文書学連盟が進める「日付のある写本のカタログ化」(Kataloge der datierten Handschriften)事業の成果を活用するとともに、その不足分・未刊行分については、現地での文書館調査によって十分に補った。そのため、夏期に3週間程度の海外出張を行い、文書館での調査を行なうとともに、改革派修道士の移動経路の踏査のためにフランス南東部、スイス、北イタリア、ドイツ南部の拠点的修道院・教会を訪問した。
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