2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520642
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加納 修 Nagoya University, 大学院・文学研究科, 准教授 (90376517)
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 王権 |
Research Abstract |
本年度は、フランク時代の法律行為において頻繁に用いられ、フランク法の代表的な象徴物と見なされているフェストゥーカと呼ばれる棒や小枝について、3篇の論考を発表した。名古屋大学文学部研究論集(史学)に発表した「家臣制の象徴儀礼再考-フェストゥーカを手がかりとして-」は、平成21年3月28日に日仏歴史学会第一回研究大会で行った報告に基づき、その後の資料データの分析結果を加えたものであり、フランク法が王権の伸張により他の地域に浸透する過程で、フェストゥーカが次第に土地譲渡の代表的な象徴物となっていったことを明らかにしている。同じくフェストゥーカに関して、アファトミーと呼ばれる相続財産の承継手続きにおけるその用法の変化を明らかにし、平成21年3月7~8日にかけて東京フォーラムで行われた国際研究集会での報告に基づいて、Dater lesdeux actes du Formulaire de Marculfe(I,12 et 13) : quelques remarques sur l'evolution de l'affatomie(「マルクルフ書式集の2つの文書の年代を確定すること-アファトミーの変遷についての若干の指摘-」)の中で研究成果を発表した。また部族法典におけるフェストゥーカの用法と実際の裁判におけるその用法の違いについても、雑誌Hersetecに掲載された論文、La loi et l'activite du tribunal royal dans l'Etat franc du VIIe au IXe siecle (1)(「7~9世紀フランク国家における法と国王法廷の活動」)の中で明らかにした。いずれの論考も、フェストゥーカの用法の変化に王権がいかなる影響を及ぼしたかという点から、この象徴物の歴史についての定説に疑問を投げかけている。
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Research Products
(4 results)