2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520651
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
松浦 義弘 Seikei University, 文学部, 教授 (60229416)
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Keywords | フランス革命 / 国民国家 / ナポレオン時代 / 国民 / 市民 |
Research Abstract |
本研究の課題は、ジエルミナル以後のパリ民衆の革命政府にたいする関係を明らかにするとともに、パリ民衆の日常的な動きや「世論」を把握することによって、テルミドールのクーデタへの見通しをつけることにあった。この課題を達成するために、平成21年度の夏には渡仏して、パリ中央部に位置する人口密度が高く政治活動も活発だったグラヴィリエ・セクシヨンを対象に、ジヤコバン独裁末期の警察委員の報告書を調査し読解することをパリ警視庁文書館で開始した。しかしこの作業はあまり進捗しなかった。その理由は2つある。第一に、スペイン史学会第31回大会(創立30周年大会)で大会テーマ「スベイン史からナポレオン戦争期のヨーロッパを問う-国民国家像の模索」に関わるスペイン史とドイツ史の報告についてフランス史の立場から報告をしなければならなかったためである(この報告については「研究発表」の項目を参照)。第二にとくに、実教出版社の高校生用の教科書『世界史B』の中世から近代にかけての西洋史の部分を執筆することに忙殺されたためである(この教科書執筆作業は現在も進行中である)。この2つの理由のため、当初予定した3回の渡仏を2回に減らし、なおかつその期間を短縮しただけでなく、渡仏中も史料調査だけに専念することができなかった。 その結果、平成21年度中に公表しえた研究成果は前期のスペイン史学会での報告など、きわめて限定されたものにとどまったが、これまでの史料調査の成果がこの報告で生かされたこともたしかである。史料調査じたいは現在も継続中であり、次年度はより具体的なかたちで多くの研究成果をあげたいと考えている。
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Research Products
(2 results)