2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期フランスにおけるイタリア人政治亡命者のネットワーク形成に関する研究
Project/Area Number |
20520653
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
北村 暁夫 Japan Women's University, 文学部, 教授 (00186264)
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Keywords | 移民 / 亡命者 / イタリア現代史 / 反ファシズム運動 / ネットワーク / 人権同盟 / フリーメイソン |
Research Abstract |
本年度はフランスにおけるイタリア人権同盟の組織概要についてプロソポグラフィックな分析を行う予定であったが、日本アメリカ史学会2008年度大会でシンポジウム報告を行うことになったために予定を一部変更し、フランスに拠点を置くイタリア人権同盟とアメリカ合衆国におけるイタリア人(ないしイタリア系の人々)の反ファシズム運動との人的交流をめぐる研究にまず取り組んだ。その結果、アメリカにおいて反ファシズム運動のメディア拠点となった『イル・ヌオーヴォ・モンド』紙の周辺に集った亡命者たちと、フランスで人権同盟や反ファシズム連合に結集した亡命者たちは、政治的な理念や運動の方法論において類似点が多く、両者はカウンターパートの関係にあったこと、両者は人的ネットワークを最大限に活用して、フランス側の人々は人的資源の不足するアメリカ側に人材を供給し、アメリカ側はフランス側に資金提供を行うといった形で相互の弱点を補強して、亡命先における困難な状況の克服を図ったことを明らかにした。ついで、イタリア人権同盟に関して現在まで最も浩潮な研究を行っているエリック・ヴィアル教授と数度にわたる情報交換を行い、そこで得られた情報をもとに、イタリア人権同盟の会長を長く務めたルイージ・カンポロンギに関する史料が数多く保存されているフランスの現代史国際史料図書館を訪問して、これまでイタリアで閲覧することのできなかったカンポロンギの著作や、フランスに永住した彼の子女による伝記的著作を閲覧した。現在これらの史料を分析中であり、次年度ではこれらの史料をもとにして、イタリア人権同盟のフランスにおける組織概要と人的ネットワークに関する研究を進める予定である。
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