2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520654
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 史郎 Doshisha University, 文学部, 教授 (30174717)
|
Keywords | 伝染病 / 公衆衛生 / 北アメリカ / 移民 |
Research Abstract |
主として二次的研究を渉猟・分析することによって、17世紀初めから19世紀末までの大西洋地域で生じた伝染病の全体的な見取り図を明らかにした。従来の研究においては時代や地域を限定した考察はあるものの、3世紀にまたがる超域的な把握は未だ不十分であり、大西洋伝染病史のトータルな理解は、予備的作業として不可欠であるからである。申請者が所属する同志社大学には豊富な文献資料を有するアメリカ研究所があるが、とりわけ、18世紀末から19世紀初頭にかけての時期に関しては同研究所が契約するウェブ上の印刷刊行図書データベースEarly American Imprintsと、19世紀主要新聞データベース19th Century US. Newspapersを用いて、黄熱病発生当時の状況の把握につとめ、購入したパソコン上でアルバイトを使って伝染病関係の時系列データベースを構築した。米国以外については、国内他研究機関の所蔵資料の利用が必要であり、特に黄熱病の流行が著しかったハイチ(1802年)、エクアドル(1842)、ブラジル(1849-70)、バハマ(1862-64)、キューバ(1899-1900)について、その人口動態・公衆衛生対策・海外通商・港湾整備等に関する歴史的背景を探るために、東京大学アメリカ太平洋地域研究センターに出張し、資料を収集した。直接的な研究成果ではないが、松本悠子氏の著書『創られるアメリカ国民と「他者」』を書評し、移住民と衛生観念について知見を述べた。
|