2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520660
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝口 孝司 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (80264109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良之 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (50128047)
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Keywords | 前国家社会 / 国家形成 / 比較研究 / ブリテン島 / 日本列島 |
Research Abstract |
本研究は、墓地や集落の構造から伺える社会組織、その表象としての葬送行為、祭祀、威信財、生産と交換の諸形態、統治機構の生成と構造、そして、それらの構造化に基盤的に関与した親族組織、等を考古学的・人類学的方法で分析・総合し、1)日本列島の弥生・古墳時代、ブリテン島の新石器時代末~鉄器時代の社会の複雑性・複合性増大の進展過程の復元、2)個々の段階における構造的特質の客観的析出、3)その変化の要因の特定と相互比較、をおこなうものである。 本年度の目的は、a)マクロ・ミクロの集落構造の変容、b)埋葬プロセス、墓地・墳墓構造の変容、c)親族構造・組織の変容、以上3項目の、具体的研究の推進であった。 a) については、おもに日本列島の良好に調査された集落遺跡を抽出し、(1)居住単位とその空間構造・集落内分布、(2)貯蔵施設の集落内分布・居住単位との位置関係、(3)種々の作業空間分割の様態、(4)囲郭施設/防御施設の有無と構造、(5)(1)~(4)の時間的変遷、などの属性と、北部九州地域主要集落分布のネットワーク分析の結果の相関を検討した。また、ブリテン島南部地域、鉄器時代のヒルフォートを対象として、ネットワーク分析を開始した。 b) については、日本列島・ブリテン島の良好に調査された埋葬・墳墓遺跡を抽出し、(1)埋葬プロセス復元のための資料、(2)空間構造、(3)副葬品等諸要素の分類と水平的/垂直的差異化の有無、(4)(2)・(3)と被葬者年齢性別との相関の有無、などの属性に関する記録を中心とした資料集成作業を続行した。ブリテン島資料についてはSociety of Antiquaries of London Libraryを利用した。 c) については本年度は主に日本列島における弥生時代~古墳時代の変容プロセスの具体的要因考察に取り組んだ。 その結果、社会組織の複雑化、なかでも成層化の要因として、社会の複合化の進展とならび、親族組織の分節化の進展と、分節・安定化した単位をノードとするネットワーク形成、それにより創発されたノード間の<中心性>の差異の重要性が解明された。その成果を、日本学術振興会・European Science Foundation共催日欧先端科学セミナー「アジアとヨーロッパにおける帝国と周辺:複雑性、偶発性、因果性」にて発表した。
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Research Products
(1 results)